日本財団 図書館


 

生が先駆者で、幼いときから教育をする必要を説いておられます。ただし、私たちが教官として教育するのは医学生の6年間だけなのです。ということであれば、この期間に学生の心の中に身にしみて生と死を考える機会をつくらなければならないと思っています。そういう意味でも、模擬倫理委員会をつくったり、実例を与えてロールプレイインクをしたりします。これを日本医学教育学会を通してアピールしているのが現状です。
私は宗教はわからなくても患者さんの心を理解し、援助することはできると思うのです。患者さんの心を援助する仕方については専門家が、医師とかかわりながらやっていくのが本来の姿であると思うのですが、それをどのように学生にイメージさせるかが次の時代の日本の医療を変えるのではないかと思っています。
福間 公立病院で緩和ケア病棟をつくった場合には、はじめから宗教色を除くということが前提とされているのですが、医療の現場で普教活動をされては困るということからだと思いますが、それが日本の現状ではないでしょうか。
二村 仕事をするときは宗教のことは話しませんが、生や死を考えること自体宗教的な態度だといえるのではないかと思います。押しつけるということではなく、子供のときから触れるという機会をつくったらいいのではないでしょうか。
西村 私どもが考えるときには、仕えるという立場から臨むので、仕えるということを相手に押しつけることでも、あなたが間違っているという立場でもないわけです。いつも思いますのは、自分が立っている場所がはっきりしないと他の人とは対話ができないわけです。自分の立場をはっきりさせるということは非常に重要だとは思いますが、同時にそれがすべてで完全であるというようには考えない、そしてその対話を通してもっと真になるものを一緒に求めていこうという姿勢で臨むことのほうが大切ではないかと思っています。私の立場はそういうものです。
福間 どうもありがとうございました。時間がまいりましたので、残念ですがこのセッションを終わりたいと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION